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とある妹の恋愛事情

「あぁ、そうか。私、お兄ちゃんの事を好きになったんだ……」
深夜。
高速で鼓動する心臓の音を聞きながら、私は自分の布団の中で悶絶した。
今日の放課後、帰宅途中に不良に絡まれていた私。
それを助け出してくれた、お兄ちゃんの後ろ姿が今でも脳裏から離れてくれない。
まさか私が、いつも自分の部屋でゲームやアニメ・美少女フィギュアを楽しむオタク全開ヤロウを好きになるなんて。
どうしよう? 顔の熱が全然引いてくれない。明日からどうやって接すればいいの? どうやってアピールすればいいの?
悶々としながら私の眠れない夜はふけていった……。

翌朝、私はお兄ちゃんの部屋の中に立っていた。
目の前には、イビキをかきながら気持ち良く寝ているお兄ちゃんの姿。
前なら気持ち悪くて見ていられなかった寝顔も、今では愛らしく思う。
あぁ、恋ってなんて素敵なんだろう。
ずぅーと見ていたいが、私は心を鬼にして作戦実行の準備をする。
近くにあった広辞苑を手に取り、お兄ちゃんの寝顔にロックオン。
お兄ちゃんが愛読していた妹モノの漫画で、こういうシーンがあったことを昨日布団の中で思い出したのだ。
きっとお兄ちゃんも好きに違いない。
私は、広辞苑を思いっきり振り下ろした。
クリティカル!
お兄ちゃんは、ビクリと体を一回痙攣させてから二度寝した――永眠である。
「……………………あれ?」
私の中の刻が静止する。
窓の外から聞こえてくる、スズメ達の合唱だけが辺りを支配した。チュン、チュン。
ダラダラと滝のように冷や汗をかきながら、何か解決策を見つけようと、部屋を見渡す。
そして、本棚にその本はあった「正しいゾンビの作り方」

End

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